特定遊興飲食店営業とは、どのようなものをいうのか?

 

前回、「深夜酒類提供飲食店営業とは、どのようなものをいうのか?」において、深夜に主に酒類を提供する飲食店を行う場合は開業の10日前までに深夜酒類提供飲食店営業の届出を公安委員会に対して行わなければならない旨を解説しました。

では、これ以外に深夜(午前0時から午前6時)に主に酒類を提供して飲食店を営業することはできないのでしょうか?平成28年6月の風俗営業法改正により新たに「特定遊興飲食店営業」という許可類型が風俗営業に加えられて、許可を取得すれば深夜(午前0時から午前6時)でも営業が可能です。

また、基本的に風俗営業第1号(キャバレー、ラウンジ、料理店)の場合、深夜(午前0時から午前6時)営業はできませんが、特定遊興飲食店営業ではできない接待行為を行うことが可能です。

このように他の許可等との違いも含めて、本日は特定遊興飲食店営業について解説をしたいと思います。

 

特定遊興飲食店営業とは

 

特定遊興飲食店営業とは、飲食店営業と風俗営業を兼ねた内容で、具体的には以下のような特徴のすべてを満たしたものをいいます。

 

遊興を提供し、客に飲食をさせる営業(遊興+飲食)をするもの
照度10ルクス以上として営業するもの
深夜(午前0時から午前6時)営業するもの
※ 東京都は条例により午前5時から午前6時は営業不可

 

そのため、深夜酒類提供飲食店の場合は、深夜(午前0時から午前6時)営業は可能でも、あくまでも客に飲食をさせることのみ(遊興や接待行為は不可)で、20ルクスを超えた照度で営業する必要があります。

風俗営業第1号営業(キャバレー、ラウンジ、料理店)の許可を得た飲食店は、深夜(午前0時から午前6時)営業は不可能ですが、接待行為と遊興を提供し客に飲食をさせ、5ルクスを超えた照度で営業することができます。

深夜(午前0時から午前6時)営業と接待行為は行わないが、遊興を提供し、客に飲食をさせる営業で照度を10ルクス未満に抑えたい場合は、風俗営業第2号営業(低照度飲食店)の許可が必要になります。

以上の相違点を表でまとめれば以下のようになります。

 

種類 営業品目 照度 深夜営業
特定遊興飲食店営業
遊興を提供し、客に飲食をさせる
10ルクス以上
客に飲食をさせる
20ルクスを超える
風俗営業第1号営業(キャバレー、ラウンジ、料理店
接待行為や遊興を提供し、客に飲食をさせる
5ルクスを超える
×
風俗営業第2号営業(低照度飲食店)
遊興を提供し、客に飲食をさせる
5ルクスを超える
×

 

さて、特定遊興飲食店営業は、特徴的なものとして「遊興の提供」ことにあると思います。

 

  • 遊興の提供とは

 

遊興の提供へ考え方として、警察庁の通達「風俗営業等の規則および業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準」では、以下のような場合を「遊興の提供」としています。

 

お店の積極的な働きかけにより、客に遊びを興じさせる場合をさす

 

具体的な行為としては、以下のように示しています。

 

① 不特定多数の客に歌、ダンス、ショウ、演芸、映画等を見せる行為
② 生バンドの演奏を不特定多数の客に聴かせる行為
③ 不特定多数の客が参加する遊戯・ゲーム・競技等を行わせる行為

 

ここで、重要なポイントは「不特定多数の客」という前提条件があることです。もしも、特定の客に対し上記の行為をした場合は、「接待行為」に該当し、風俗営業法第1号営業(キャバレー、ラウンジ、料理店)の許可が必要になり、かつ、深夜(午前0時から午前6時)は営業不可になります。

また、深夜酒類提供飲食店営業の場合、あくまでも深夜の「居酒屋」であり、「お店の積極的な働きかけ」によって、客に遊びを行わせる場合は特定遊興飲食店営業の許可が必要です。

 

・カラオケやダーツなど自体は遊興ですが、カラオケ装置やダーツなどを設置して、客が任意に選曲して歌ったり興じるのであれば、「遊興の提供の対象外」になり、特定遊興飲食店営業の許可は不要になります。ただし、お店の側が不特定の客に向けて歌うことや参加を勧奨したり、照明や合いの手等により盛り上げる場合は、「遊興の提供の対象」になり、特定遊興飲食店営業の許可が必要になります。
・スポーツバーなどで、客にスポーツ観戦をさせる行為は、「遊興の提供の対象外」になり、特定遊興飲食店営業の許可は不要になります。ただし、客に呼びかけて応援等に参加させる行為は、「遊興の提供の対象」になり、特定遊興飲食店営業の許可が必要になります。

 

まとめとして

 

特定遊興飲食店営業で特に重要なことは、遊興の提供です。遊興の提供とは、お店の積極的な働きかけにより、客に遊びをさせる行為をいいます。

特に深夜酒類提供飲食店は、遊興の提供は禁止されています。ガールズバーなどで、客に「カラオケしてください!」や「ダーツを見たい!」とかいって客に遊びを店側から勧奨すると特定遊興飲食店営業の許可がいる行為になります。

ガールズバーなどでは、いろいろと工夫をして接待行為や遊興の提供にならないようにしていると思いますが、中にはきわどいものも散見します。

深夜酒類提供飲食店営業の届出で足りる営業は、あくまでも「深夜の居酒屋」を想定したもので、遊興の提供を想定してはいません。非常に注意が必要な分野です。