平成30年12月3日国土交通省通達:『主任技術者または監理技術者の「専任」の明確化について(改正)』の解説!

 

以前、「工事現場に配置する配置技術者(主任技術者や監理技術者等)、専門技術者が、他の工事との掛け持ちが許されない場合とは?」において、工事が公共性のある工作物に関する重要な工事を施工する場合には、工事の現場に専任の技術者を配置しなければならない旨を解説しました。根拠条文は以下のようになります。

 

建設業者が建設工事の際に現場に配置しなければならない配置技術者(主任技術者や監理技術者等)は、当該工事が公共性のある工作物に関する重要な工事である場合には、工事現場ごとに専任の者でなければならないとされています(建設業法第26条第3項)。

 

では、上記の条文にある公共性のある工作物に関する重要な工事とは、どのようなものを指すのでしょうか?建設業法施行令では以下のようなものを指します。

 

公共性のある工作物に関する重要な工事とは、民間の自己住居戸建住宅以外の建設工事で、3,500万円(建築一式工事の場合、7,000万円)以上のものが概ね該当します(建設業法施行令第27条)。

 

上記の文章での注意点は、必ずしも国や地方公共団体等が発注する公共工事の成果物のみをさすのではないということです。民間でも住居戸建住宅以外で大きな事務所ビルを施工する場合などは、該当します。

 

なお、上記のような専任を求められる工事の専任とは、基本的に他の工事に係る職務を兼務せず、常時継続的に当該工事に係る職務のみに従事していることをいいます。

 

さて、この度、このような現場に配置する技術者の専任という考え方について、新たに国土交通省から各地方整備局へ通知がなされましたのでご紹介したいと思います。

 

主任技術者または監理技術者の「専任」の明確化について(改正)

 

平成30年12月3日、国土交通省土地・建設産業局建設業課長から各地方整備局建設業担当部長宛に、以下の通知がなされました。

 

主任技術者または監理秘術者の「専任」の明確化について(改正)国土建第309号

建設業法(昭和24年法律第100号。以下「法」という)第26条、建設業法施行令(昭和31年政令第273号)第27条により、建設工事の現場に置くこととされている主任技術者または監理技術者(以下「管理技術者等」という)については、監理技術者制度運用マニュアル(平成28年12月19日付け国土建第349号)等により、その適正な配置をお願いしているところである。

また、監理技術者等の「専任」については、「主任技術者または監理技術者の「専任」の明確化について(平成29年8月9日付け国土建第169号)」により、その取扱い等を明確化したところであるが、今般、建設業の働き方改革を推進する観点から、下記のとおり改正し、通知する。

貴職においては、これを踏まえ、監理技術者等の専任性度が的確に運用されるよう、建設業者に対して適切に指導されたい。

監理技術者等は、建設工事を適正に実施するため、当該建設工事の施工計画の作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理および当該建設工事の施工に従事する者の技術上の指導監督の職務を行う役割を担っていることから、当該工事現場にて業務を行うことが基本と考えられる。

また、請負金額の額が3,500万円(建築一式工事である場合にあっては、7,000万円)以上の公共性のある施設もしくは工作物または多数の者が利用する施設もしくは工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるものについては、監理技術者等は、工事現場ごとに専任の者でなければならないものとされている(法第26条第3項)。ここでいう専任とは、他の工事現場に係る職務を兼務せず、常時継続的に当該工事現場に係る職務にのみ従事することを意味するものであり、必ずしも当該工事現場への常駐(現場施工の稼働中、特別の理由がある場合を除き、常時継続的に当該工事現場に滞在していること)を必要とするものではない。そのため、技術者の継続的な技術の研鑽の重要性や建設業の働き方改革を推進する観点を踏まえ、技術研鑽のための研修、講習、試験等への参加、休暇の取得、その他の合理的な理由で管理技術者等が短期間工事現場を離れることについては、適切な施工ができる体制を確保する(例えば、必要な資格を有する代理の技術者を配置する、工事の品質確保等に支障の無い範囲内において、連絡を取りうる体制および必要に応じて現場に戻りうる体制を確保する等)とともに、その体制について、元請の監理技術者等の場合は発注者、下請の主任技術者の場合は元請または上位の下請の了解を得ていることを前提として、差し支えない。

なお、適切な施工ができる体制の確保にあたっては、監理技術者等が当該建設工事の施工の技術上の管理をつかさどる者であることに変わりないことに留意し、監理技術者等が担う役割に支障が生じないようにする必要がある。

この際、例えば必要な資格を有する代理の技術者の配置等により適切な施工ができると判断される場合には、現場に戻りうる体制を確保することは必ずしも要しないなど、監理技術者等の研修等への参加や休暇の取得等を不用意に妨げることのないように配慮すべきである。さらには、建設業におけるワーク・ライフ・バランスの推進や女性の一層の活躍の観点からも、監理技術者等が育児等のために短時間現場を離れることが可能となるような体制を確保する等、本通知の趣旨を踏まえた監理技術者等の適正な配置等を留意されたい。

 

この通知の要旨は、今般の働き方改革を推進することを趣旨に、現場に専任で配置する技術者が「技術研鑽」のための研修等や「休暇の取得」のため短期間工事現場を離れる際に、適正な施工が確保されるような体制づくりを勧めなさいということです。

 

具体的には、必要な資格を有する代理の技術者の配置等や工事の品質確保等に支障の無い範囲内において、連絡を取りうる体制および必要に応じて現場に戻りうる体制を確保する等が考えられます。

 

なお、体制づくりには必要な資格を有する代理の技術者の配置等により適切な施工ができると判断される場合には、現場に戻りうる体制を確保することは必ずしも要しないなど、監理技術者等の研修等への参加や休暇の取得等を不用意に妨げることのないように配慮すべきとのことです。

 

また、建設業におけるワーク・ライフ・バランスの推進や女性の一層の活躍の観点から、監理技術者等が短時間現場を離れることが可能となるような体制を確保も考慮する必要があります。

 

まとめとして

 

監理技術者等の専任制度でいうところの専任は、常勤を要しません。このことは、上記の通知の中の文章でも確認可能です。

 

ここでいう専任とは、他の工事現場に係る職務を兼務せず、常時継続的に当該工事現場に係る職務にのみ従事することを意味するものであり、必ずしも当該工事現場への常駐(現場施工の稼働中、特別の理由がある場合を除き、常時継続的に当該工事現場に滞在していること)を必要とするものではない。

 

そのため、技術研鑽のための研修等への参加、休暇等の取得、育児など短期間現場を離れることは通常考えられ、可能な限り現場はこれらのことに協力すべきと感じます。

 

ただし、監理技術者等が現場を離れた場合に、適正な施工に支障が出てはいけません。本日の通知は、このことへの体制づくりに対する考え方についてもものです。