自社でトラックを持たず、外注で運送業を行う貨物利用運送事業とは?

 

先日まで、貨物自動車運送事業についての解説をさせていただきました。この事業は、他者の依頼を受けて有償で運送事業を行う事業のことで、自社で車両等の施設を用意したり、その保管や営業所などについても必要な条件を満たす必要があります。

 

貨物自動車運送事業とは、自社のトラックなどの車両を使用して運送事業を行うことで、貨物自動車運送事業法の規定に基づいて運営されます。

 

当然ながら、自社で車両を用意して運送事業を行う場合、貨物自動車運送事業法第1条の趣旨に則り健全に運送を行うためには、事業計画の上でも慎重なものが要求され、必要な資金としても1,000万円から2,000万円位用意することが一般的です。

 

さて、実際の運送業を行うにあたり、コンスタントに希望する仕事の量によって会社を運営できればそれに越したことはないのですが、どの仕事もそうですが仕事量の波のようなものは存在します。

 

突発的な需要に対して、上記の貨物自動車運送事業のみでは賄えない場合も存在します。この場合、当然外注業者を利用することが多いと思います。

 

このように、自社の車両を利用せずに運送事業を行うことを貨物利用運送事業といいます。

 

本日からこの貨物利用運送事業について解説をはじめたいと思います。

 

貨物利用運送事業とは?

 

貨物利用運送事業法において、貨物利用運送事業は以下のように定義されています。なお、貨物利用運送事業には、船舶、航空、鉄道に対するものも存在しますが、このブログではあくまでも貨物自動車運送事業を利用するものについての解説に限らせていただきます。

 

この法律において「実運送」とは、船舶運航事業者、航空運送事業者、鉄道運送事業者または貨物自動車運送事業者(以下「実運送事業者」という)の行う貨物の運送をいい、「利用運送」とは、運送事業者の行う運送(実運送に係るものに限る)を利用する貨物運送をいいます(貨物利用運送事業法第2条)。

 

実運送とは、運送事業の必要な許可などを受けた実運送事業者が行う貨物の運送をいいます。前回まで解説した一般貨物自動車運送業は、この実運送を行う実運送事業者に含まれます。

 

利用運送とは、上記の実運送事業者を利用する貨物の運送をいいます。

 

この法律において「第1種貨物利用運送事業」とは、他人の需要に応じ、有償で、利用運送を行う事業であって、第2種貨物利用運送事業以外のものをいいます(貨物利用運送事業法第2条の7)。

 

第1種貨物利用運送事業とは、例えば実運送事業者として必要な許可を受けた一般貨物自動車運送事業者に仕事を外注して運送を行わせることをいいます。

 

第1種貨物利用運送事業を経営しようとする者は、国土交通大臣の行う登録を受けなければなりません(貨物利用運送事業法第3条)。

 

一般貨物自動車運送事業の場合は、許可を受ける必要がありましたが、第1種貨物利用運送事業の場合は登録になります。

 

まとまれば、第1種貨物利用運送事業とは、自社ではトラックなどの事業用自動車を持たず、実際の運送は全て外注の実運送事業者に任せる形式で、業界用語で「水屋」と呼ばれます。

 

なお、依頼者への運送の全責任は、利用運送事業者が負います

 

よく聞く、仕事の紹介をした後は、依頼者と実運送事業者がすべてのやり取りをして、トラブル等についても依頼者と実運送事業者間で解決するのであれば、その形式(求車求貨システムなど)は利用運送ではなく取次事業です。

 

なお、仕事を紹介するのみで自社では責任を負わない取次事業の場合は、許可などは不要です。

 

まとめとして

 

貨物利用運送事業についての詳細な解説は、「貨物利用運送事業についてのQ&A」が参考になります。

 

ここで、貨物自動車運送事業と貨物利用運送事業、運送取次事業の違いを表にしてみたいと思います。

 

運送事業 特徴 許可等の必要性 根拠法
貨物自動車運送事業
自社の事業用自動車を使用して貨物を運送(運送の責任は自社で負う)
許可等が必要(例:一般貨物自動車運送事業許可)
貨物自動車運送事業
貨物利用運送事業
実運送事業者に外注して、自社の事業用自動車等を使用せず貨物を運送(運送の責任は自社で負う)
貨物利用運送事業の登録
貨物利用運送事業法
運送取次事業
運送の仕事を実運送業者へ紹介するのみ(運送の責任は実運送業者が負う)
許可や登録の必要はなし
貨物利用運送事業法

 

平成15年に貨物運送取扱事業法が、貨物利用運送法に改正されました。その際、許可制であった利用運送業が、登録制に改められました。また、登録制であった運送取次事業も、登録せずに行うことができるようになりました。

 

規制が緩和されて、運送業界への参入が容易にはなりましたが、多重下請問題などの課題は山積です。特に運送取次事業者にはピンハネ等の懸念をもたれることも、当然かもしれません。

 

ただし限られた経営資源の中で、需要と供給を調整する人間が必要なことも運送業界では重要なことになります。

 

とにもかくにも、仕事を円滑に回していく努力と模索が常になされている業界であることは事実でしょう。