外国人技能実習生に対する監理団体・実習実施者の禁止事項には、どのようなものがありますか?

 

技能実習法では、技能実習生の保護の観点から、技能実習生を受け入れる側の監理団体や実習実施者の企業等に対して、技能実習生に対する行為の中で禁止事項を予め定め、違反した場合に対する罰則を設けています。

 

外国人労働者の受入れ企業等が、外国人の不利な立場や日本社会に対する無知に付け込み、昔から強制労働や強制貯蓄、外出の制限などの不当な制限をかけるケースは多く存在しました。

 

映画などでも中国や東南アジアの方の在留資格を国際偽装結婚などで不正に発給させ、日本での奴隷的労働を強いたものが取り扱われたこともありました。

 

人間の本性の一つには、「易きに流される」性向があることは否めませんが、それを何ら制限なく放置すると強いものには媚、弱い者には限りなく強い「力の信奉者」になってしまう場合が多数散見します。

 

力の信奉者は、弱い者を見つけると際限なく自分の要求をし続け、弱者の人権は著しく蹂躙されることになります。

 

外国人技能実習生は、概ね在留資格による活動の制限や日本社会への無知、語学力の問題など一般の日本人よりも不利なケースが多いです。

 

この不利な立場の技能実習生を受け入れる企業が、万一上記の力の信奉者であった場合には過酷な環境を強いられることは想像に値すると考えます。

 

このようなことのないように技能実習法では、監理団体や実習実施者の企業等に対して、技能実習生に対する行為の中で禁止事項を定め、技能実習生の保護に対する対策を講じています。本日は、この対策について解説をしたいと思います。

 

技能実習生の保護に関する措置

 

技能実習法では、適正な技能実習を担保するため、監理団体・実習実施者の企業等を対象として、禁止行為を法制化しました。対象となるのは以下のものです。

 

①実習監理者等
実習監理(団体監理型実習実施者と技能実習生の雇用関係斡旋や技能実習の実施に関する監理)を行う者またはその役員・職員
②技能実習関係者
技能実習を行わせる者もしくは実習監理を行う者またはこれらの役員・職員
③実習実施者等
実習実施者もしくは監理団体またはこれらの役員・職員

 

上記の者は、技能実習生に以下のことを行うことを禁止されています。

 

  • 技能実習の強制

 

実習管理者等は、暴行・脅迫・監禁当により技能実習生の意思に反して技能実習を強制してはなりません(技能実習法第46条)。

 

これに違反すると、「1年以上10年以下の懲役または20万円以上300万円以下の罰金」に処せられます。

 

実習実施者については、労働基準法第5条(強制労働の禁止)に該当し、罰則は技能実習法と同様です。

 

  • 賠償予定

 

実習管理者等は、技能実習に関する契約不履行について、違約金を定め、損害賠償額を予定する契約をしてはなりません(技能実習法第47条第1項)。

 

上記の内容は、技能実習者だけでなく、配偶者や親族等を対象とする契約も禁止されています。違反した場合の罰則は、「6ヶ月位以下の懲役または30万円以下の罰金」です。

 

実習実施者については、労働基準法第16条(賠償予定の禁止)の対象になり、罰則は技能実習法と同様です。

 

  • 強制貯蓄

 

実習管理者等は、技能実習契約に付随して貯蓄・貯蓄金管理の契約をさせてはなりません(技能実習法第47条第2項)。

 

違反した場合の罰則は、「6ヶ月位以下の懲役または30万円以下の罰金」です。

 

実習実施者については、労働基準法第18条(強制貯蓄)の対象になり、罰則は技能実習法と同様です。

 

  • 在留カードの保管

 

技能実習関係者は、技能実習生の旅券(パスポート)や在留カードを保管してはなりません(技能実習法第48条第1項)。

 

技能実習生の意思に反して保管した場合、「6ヶ月位以下の懲役または30万円以下の罰金」の対象になります。

 

  • 外出制限等

 

技能実習関係者は、技能実習生の外出その他私生活の自由を不当に制限してはなりません(技能実習法第48条第2項)。

 

技能実習生の意思に反して保管した場合、「6ヶ月位以下の懲役または30万円以下の罰金」の対象になります。

 

  • 通報・申告窓口の整備

 

技能実習生は、実習実施者等の法律違反等について、主務大臣に申告ができます(技能実習法第49条第1項)。

 

技能実習生が申告しやすいように、外国人技能実習機関では母国語による相談窓口を設けています。申告制度については、技能実習生に配布する技能実習手帳にも記載されています。

 

実習実施者等は、申告を理由に技能実習生に対して不利益な取り扱いをしてはなりません(技能実習法第49条第2項)。

 

違反した場合の罰則は、「6ヶ月位以下の懲役または30万円以下の罰金」です。

 

まとめとして

 

本日は、技能実習生の基本的人権の保護について、技能実習法上の禁止事項について解説しました。

 

先に説明しましたが、人間には「力の信奉者」になり得る危険な性向も含みます。良識ある人間は自らの自律心によりその性向を抑制しますが、すべての人間がそれが可能とは限りません。

 

環境や時代の要請、心の状態などにより抑制が効かなくなる場合もあります。法律は、こういったどうにもならない性向の最後の外的な抑制装置になります。

 

やはり可能な限り、人間は内的な抑制を働かせるような努力は必要であると感じます。