外国人技能実習生の賃金の支払いで注意すべきところは、何ですか?

 

前回、「講習期間終了後、技能実習の期間中の外国人技能実習生の取扱は、どのようになっているのか?」において、労働契約に関する注意点について解説をしました。

 

基本的に外国人は、在留資格による活動の制限はありますが、就労に当たっては日本人と同じように労働関係法規の適用を受けます。このことは、技能実習生も同じです。

 

技能実施者である企業と労働契約を結ぶ以上、就労に当たっては日本人同様に労働関係法令の趣旨に則り扱われます。

 

さて、外国人技能実習生の労働契約に基づく運用面において、本日より解説をしていきたいと思います。

 

本日は、賃金の支払いについて注意すべき点について、解説します。是非とも、充分にご確認ください。

 

技能実習生の賃金の支払い

 

外国人技能実習生であっても、一旦雇用契約をした以上、労働関係法令の趣旨に沿って賃金の支払に対しても取り扱われます。主な内容は、以下のようになります。

 

次に掲げる賃金支払いの5原則を守らなければなりません。

ア.通貨(日本円)で支払うこと
ただし、本人の書面による同意に基づき、本人が指定する本人名義の口座に振り込むことができます。なお、口座振込による賃金の支払いに当たっては、これらの要件に加えて、賃金支払明細書の交付および労使協定を締結することが必要です。
イ.直接技能実習生本人に支払うこと
ウ.全額支払うこと
全額支払いの原則は、賃金の一部を控除して支払うことを禁止するものです。したがって、積立金・貯蓄金などを賃金から差引くこと、貸付金と相殺することなど全て控除に当たります。
エ.毎月最低1回支払うこと
オ.一定期日に支払うこと

賃金額については、次のことに留意ください。

ア.女性であること、国籍によって差別的取扱をしてはいけません。
イ.適用される地域別最低賃金または産業別最低賃金による最低賃金以上の額を払うことは当然ですが、報酬は日本人が従事する場合の報酬と同等額以上であること(最低賃金は、原則毎年改定されます。)
時間外労働・休日労働または深夜労働を行わせた場合には、それぞれの割増賃金の支払が必要です。
賃金の支払に当たっては、必ず、賃金支払明細書を交付して、領収書または領収印(サイン)を取り付けておくことが必要です。
賃金台帳を作成するとともに、賃金支払いの都度記入し保存してください。
労働契約に付随して技能実習生に貯蓄の契約をさせ、または貯蓄金を管理する契約をすることは禁止です。
他人の就業に介入して利益をえることはできません(中間搾取の禁止)。

 

  • 賃金の口座振込

 

賃金の口座振込は、通貨支払いの原則の例外として、受入れ企業内で口座振込に関する労使協定が締結されていることを前提に、次の要件を充足すれば可能です。

 

技能実習生本人の同意があること
技能実習生が指定する本人名義の預貯金等の口座に振り込まれること
振り込まれた賃金の全額が所定の賃金支払日に引き出せること

 

  • 賃金から控除可能なもの

 

全額払いの原則の例外として、以下のものを賃金から控除することができます。

 

所得税・住民税および社会保険料や労働保険料
所得税・住民税を源泉徴収することおよび社会保険料や労働保険料を控除することが法令で認められています。
寮費や光熱費
これらの費用を賃金から控除する場合、受け入れ企業は労使協定を締結する必要があります。

 

まとめとして

 

賃金の支払いには、5つの原則があります。

 

ア.通貨(日本円)で支払うこと
イ.直接本人に支払うこと
ウ.全額支払うこと
エ.毎月最低1回支払うこと
オ.一定期日に支払うこと

 

このことは、日本人同様に外国人技能実習生においても同じです。

 

ただし、未だに外国人の方の在留資格による活動の制限と、基本的人権を混同して外国人労働者に対する差別的扱いが後を絶ちません。

 

もちろん、外国人の側にも問題や誤解が多いことも散見することは事実です。

 

とりあえず、日本人の立場としては、できることはしっかりと行うことが、トラブルになった場合の保全策としては最善です。

 

外国人の中には、日本人ならば多少甘えても許してもらえると考える者もいます。また、外国人であることの弱みに付け込む日本人も未だいます。

 

近年、良い意味でも悪い意味でも法律が整備されてきています。悪い意味では、裁量の幅が狭まってきているようにも感じます。

 

このような中で、最高の保全策は、お互いに決められたことは遵守すること以外ありません。