建設業における社会保険の未加入問題とは、何ですか?

 

以前、「標準請負契約約款の請負代金内訳書に追加された記載事項を知りたい!」という記事の中で、以下のように社会保険について解説したと思います。

 

見積書にも社会保険・労働保険の加入の徹底から、法定福利費の記載が義務付けられたと思いますが、契約締結の際に約款を使用する場合もその義務が発生しました。

 

具体的には、社会保険と労働保険の加入の徹底のため、請負代金内訳書に健康保険、厚生年金および雇用保険に係る法定福利費の明示されるものとなりました。

ちなみに、社会保険・労働保険とは一般的に以下のものをいいます。

 

種類 保険の種類 管轄官庁・手続場所 約款に記載する内容
労働保険 労災保険・雇用保険
厚生労働省(旧労働省系)・労働基準監督署(労災)とハローワーク(雇用)
雇用保険
社会保険 厚生年金・健康保険
厚生労働省(旧厚生省系)・社会保険事務所
厚生年金・健康保険

 

法律上は、社会保険・労働保険は、人を雇った場合は入社日に加入しないといけないものです。しかし、実態は中小零細企業の中には、加入しなかったり、3ヶ月から1年は試雇期間として加入を据え置くケースが多々あります。

 

この状況を打開するための策として、建設業では見積書や契約関係書類に必要的記載事項として記載を義務付けることで加入の徹底を推し進めています。

 

建設産業において、下請企業を中心に、年金、医療、雇用保険などの社会保険について、法定福利費を適正に負担しない企業が存在し、技能労働者の処遇を低下させ、若年入職者減少の一因となっているほか、関係法令を遵守して適正に法定福利費を負担する事業者ほど競争上不利になるという矛盾した状況が指摘されています。

 

このため、国土交通省では、事業者単位では「許可業者の社会保険加入率100%」を目指した施策を展開しています。

 

許可業者の社会保険加入率100%!?」を目指す施策なため、今後、許可の更新の際は、雇用保険、厚生年金、健康保険の加入の如何を確認する措置が予想されます。

 

現時点では、経営業務の管理責任者や専任技術者の常勤性等の確認のための資料として、「会社の健康保険の保険証の写し」で、法人の加入状況を確認していましたが、今後はもっと厳しくなるでしょう。許可の要件の一つ、または、未加入を欠格要件にするようになる可能性も考えられます。

 

このような理由から、最近建設産業で注目されている社会保険の未加入についてですが、そもそも社会保険の保険制度とは、どのようなものでしょうか?本日は、この件について解説をしたいと思います。

 

雇用保険、健康保険・厚生年金の概要

 

上記の表中にあると思いますが、社会保険には2種類の区分けがなされていて、管轄する役所も異なります。

 

本日は、今回の話に直接関係のある「雇用保険」と、「健康保険・厚生年金」について概要を説明したいと思います。

 

①雇用保険
俗に言う「失業保険」のことです。法人、個人を問わずに労働者を1人でも雇用した場合には、必ず加入しなければなりません。ただし、1週間の労働時間が20時間以上で31日以上雇用の見込みの者のみが対象となり、1週間の労働時間が20時間未満の場合には、本人が希望しても加入できません。また、会社の代表者や役員は加入することができません。
②健康保険・厚生年金
法人会社の場合には、人数に関わらず加入しなければなりません。個人事業者の場合は、労働者が5人以上の場合には必ず加入しなければなりません(一部の業種を除く)。5人未満の場合は、任意加入になります。

 

まとめとして

 

社会保険の加入においては、会社が加入することはいいことだと思います。しかし、従業員の中には、収入、その他の面から加入を拒むケースも考えられます。

 

現実的に、世の中には「上には上がいる反面、下には下がいる」ものなのです。

 

ただし、この従業員の加入に関する管理は、会社側の責任になります。基本的にルールに基づいて考えると、対象者は全員加入が条件です。

 

そう考えると、「許可業者の社会保険加入率100%」を目指す施策の運用面での現実性には、今後も実態を踏まえた議論が必要に感じます。