下請負人にやり直し工事を求めることで建設業法違反になる行為は、どのようなものがありますか?

 

建設工事の請負契約を履行する中で、工事のやり直しを下請負人に求める場合は多々あると思います。

 

当然ながら、契約の内容と異なった施工をした場合など、元請負人から下請負人に対してやり直し工事を求めることは、当然のことであり建設業法に何ら違反しません。

 

ただし、建設業法では下請負人の保護の観点から、やり直し工事を求めることで建設業法違反になる行為があります。

 

いったい、どのような行為が上記の法令違反になるのか、本日は解説をしたいと思います。

 

やり直し工事の費用負担は原則元請負人側にある

 

元受業者は、下請工事の施工に関して下請負人と充分な協議を行い、また、明確な施工指示を行うなど、下請工事のやり直しが発生しないように努めなければなりません。

 

ここで、重要なことは元請負人側にやり直し工事が発生しないようにする一定の「協議を行うこと」と、「明確な施工指示」に関する努力義務があるということです。

 

特にやり直し工事に関する元請・下請間での紛争が発生した場合、上記の一定の努力義務を果たしたか否かについても問われる可能性は大です。

 

これを防止する方法としては、見積条件の提示の際に「施工条件・範囲リスト」の活用が有効です。

 

このように、一定の努力義務の根拠や証拠を残しておくことは、建設業法違反の疑いをかけられた場合に元請負人側の立場を守ることになります。

 

さて、やむを得ず、下請工事施工後に元請負人が下請負人にやり直し工事を求める場合があると思います。

 

このような場合は、やり直し工事に関する費用を元請負人が不当に下請負人側に負担させた場合は、下請負人の責めに帰すべき理由がある場合を除いては、当該やり直し工事に必要な費用負担は、元請負人側にあるとされています(建設業法第19条第2項、建設業法第19条の3、建設業法令遵守ガイドライン)。

 

  • 下請負人の責めに帰すべき理由がある場合

 

下請負人の責めに帰すべき理由があるやり直し工事として、元請負人が費用を全く負担することなく、下請負人にやり直し工事の請求を行うことができるものは、以下の2点の場合に限られます。

 

下請負人の施工が請負契約書に明示された内容と異なる場合
下請負人の施工に瑕疵等がある場合

 

ただし、以下の(1)、(2)の場合は、上記の①「契約書に明示された内容と異なる」と②「瑕疵等がある」を理由に元請負人が全額負担することなくやり直し工事を請求することはできません

 

(1)
下請負人から施工内容等を明確にするように求めがあったにもかかわらず、元請負人が正当な理由なく明確にせず、下請負人に継続して作業を行わせて、その後、下請工事の内容が契約内容と異なるものとする場合
(2)
施工内容について下請負人が確認を求めて、元請負人が了承した内容に基づき施工したにも関わらず、下請工事の内容が契約内容と異なる場合

 

  • 下請負人に責めに帰すべき理由がない場合

 

下請負人に責めに帰すべき理由がないにも関わらず、下請工事の施工完了後に、元請負人が下請負人に対してやり直し工事を依頼する場合は、元請負人は速やかに工事に必要な費用について元請・下請間で充分な協議を行った上で、変更契約を行う必要があります。

 

まとめとして

 

やり直し工事に関しては、原則、元請負人が費用負担することになります。ただし、下請負人の責めに帰すべき理由がある場合は、その費用を負担することなくやり直し工事を下請負人に求めることができます。

 

さて、このやり直し工事に対しては、やはり元請負人は事前の見積条件を明確に提示することが、元請負人の立場を守ることに重要と感じます。

 

先に取り上げましたが、見積条件の提示の際に「施工条件・範囲リスト」の活用が有効です。

 

法令で事前に行うべきことが示されているということは、それを遵守して行ってさえいれば傷口を最小限にすることができるということになります。

 

おかしな小細工を行うよりは、その方が最も安全な元請・下請関係を構築できると感じます。