建設工事請負契約には、下請法の規定は適用されず、建設業法の規定が適用されます。

 

下請法とは、正式に下請代金支払遅延等防止法といい、親事業者の下請事業者に対する優越的地位を濫用する行為を規制する法律です。

 

この法律は、独占禁止法第19条の「不公正な取引方法の禁止」と同法一般指定第14号「優越的地位の濫用」に対する補完法で、一般に下請法に該当しない場合は、独占禁止法の先の規定により排除措置命令がなされます。

 

下請法は、親事業者と下請事業者の間に資本金等の格差が認められて適用になります。例えば、親事業者(資本金1,000万円超)と下請事業者(資本金1,000万円以下)の間の問題について適用されるなどのことです。

 

この下請法の説明は、本日のテーマとはずれますので、このぐらいにしたいと思います。
 

さて、本日は、建設工事請負契約について、下請法の規定は適用されず、それに対応する建設業法が適用される旨を解説したいと思います。

 

この規定は、公正取引委員会に対する措置を求めることができる規定になりますので、ひとつひとつご確認ください。

 

下請法のかわりに適用される建設業法の規定

 

下請法第2条第4項において建設工事の請負は適用除外になっています。なぜならば、予め建設業法では下請問題に対する規定を設けているからです。

 

そのため、下請法の適用から除外されているため、建設工事の下請問題は国が放置しているというわけではないことをご確認ください。

 

建設業法では、建設工事に関する下請契約について、下請負人の保護を次のように図っています。

 

(建設業法の下請保護の規定)に違反した場合、公正取引委員会に適当な措置をとるように求めることができます(建設業法第42条第1項)。

 

公正取引委員会に措置を求めることができるということから、効果としては独占禁止法や下請法の措置と同等の効果を期待できることになります。

 

下請保護に関して以下のような条項を、建設業法では規定していますのでご確認ください。

 

①建設業法第19条の3(不当に低い下請代金の禁止
元請負人は、その取引上の地位を不当に利用して、下請負人に対して、通常必要と認められる原価に満たない額で請負わせてはなりません。正当な理由がなく、契約締結後に代金を減額することも禁止されています。
②建設業法第19条の4(不当な使用資材等の購入強要の禁止
元請負人は、その取引上の地位を不当に利用して、契約締結後に、下請負人に対して、使用する資材、機械器具等やその購入先を指定して、下請負人の利害を害してはいけません。
③建設業法第24条の3第1項(下請代金の支払
元請負人は、注文者から出来形部分に対する支払や完成後の支払を受けたときは、支払い対象になった工事を施工した下請負人に対して、相応の下請代金を1ヶ月以内に、かつ、できるだけ早く支払わなければなりません。
④建設業法第24条の4(完成検査および引渡)
元請負人は、下請負人から完成通知を受けた日から20日以内に、かつ、できるだけ早く工事完成検査を完了しなければなりません。完成確認後は、原則として、下請負人が申し出れば直ちに目的物の引き渡しを受けなければなりません。
⑤建設業法第24条の5第3項(特定建設業者の下請代金の支払
特定建設業者が元請け人であり、下請負人が特定建設業者や資本金4,000万円以上の会社でないときには、下請代金の支払を一般の金融機関で割引を受けることが困難な手形で行ってはなりません
⑥建設業法第24条の5第4項(特定建設業者の下請代金の支払期日等
特定建設業者が元請け人であり、下請負人が特定建設業者や資本金4,000万円以上の会社でないときには、注文者から支払いを受けたか否かに関わらず、工事完成確認後、下請負人から目的物の引き渡しの申し出があれば、原則として申し出日から50日以内に下請代金を支払わなければなりません。支払いが遅れた部分については、年利14.6%の遅延利息の支払が必要になります。

 

まとめとして

 

建設業法では、下請法や独占禁止法なみに下請保護の規定があります。また、建設業法では、紛争解決手段として建設工事紛争審議会が設けられており、通常の裁判よりも簡易迅速な解決が期待できます。

 

ただし建設業界は、古い業界でもあることから業界の慣習や、地域のしきたり?のようなもの、仲間内の貸し借り関係などで、なかなか正規の紛争解決手段を選択しない方が多くいます。

 

特に、学生時代の先輩後輩関係などは、下請紛争の解決手段としては疑問に感じるものも多々散見します。また、日本人の気質の中に、なるべく穏便に内輪で済ませたいという心情もあると思います。

 

ただし、建設業は多くの資金や関係者、従業員などの影響の大きい業種でもあります。責任感をもって仕事をするならば、法的解決も視野に入れた契約関係の構築が必要と感じます。