元請負人の責任について、一般建設業者に比べて特定建設業者に課せられた責任とはどのようなものがありますか?

 

以前、特定建設業者の元請責任についての記事を書きましたが、そのなかで元請責任は以下のように定義しました。

 

発注者(施主)から直接建設工事を請負った特定建設業者には、下請負人に対する建設業法等の法令遵守の指導を行うことが求められます(建設業法第24条の6)。

 

具体的には、以下の3つの元請業者として下請業者に対する責務が発注者(施主)から直接建設工事を請負った特定建設業者には課せられます。

 

現場での法令遵守指導の実施
下請業者(孫請業者含む)の法令違反についての是正指導
下請業者(孫請業者含む)が是正しないときの許可行政庁への通知

 

この義務を怠ると、特定建設業者自身が建設業法の監督処分の対象になることがあります。

 

さて、特定建設業者は、下請業者の監督責任以外にも一般建設業者に比べて厳しい責務があります。

 

本日は、この特定建設業者の責務について、下請業者の監督責任も含めて、解説したいと思います。

 

特定建設業者の一般建設業者よりも厳しい責務(下請業者の監督責任含む)

 

特定建設業者は、元請負人として一定金額以上の建設工事を下請負人に出せることとなるかわりに、下請保護、建設工事の適正な施工の確保の観点から、一般建設業よりも規制が強化されており、また一般建設業に無い規制があります。

 

許可基準の強化(専任技術者の要件財産的基礎の要件(建設業法第15条)
下請代金の支払期日の規制(50日)および延滞利息(建設業法第24条の5)
下請代金の支払い方法の制限(割引困難な手形交付の禁止)(建設業法第24条の5)
下請業者(孫請業者含む)の指導、違反是正、許可行政庁への通報(建設業法第24条の6)
施工体制台帳、施工体系図の作成など(建設業法第24条の7)
工事現場への監理技術者の設置(現場責任の監理技術者には監理技術者資格者証が必要)(建設業法第26条)

 

なお、④から⑥の項目については、発注者(施主)から直接建設工事を請負った場合のみ適用されます。

 

まとめとして

 

本日は、特定建設業者に課せられた責務についてご紹介しました。特定建設業者とは、主に4,000万円(税込)以上(建築一式工事の場合、6,000万円(税込)以上)の建設工事を元請けとしての立場で行う建設業者になります。

 

当然、特定建設業の建設業許可は事前に取得する必要はあり、一般建設業者よりも専任技術者の要件(国家資格1級保持)や財産的基礎の要件の厳格化があります。

 

このように一般建設業者よりもハードルの高い特定建設業者の数は、建設業許可業者の中の約10%程度になります。

 

私の独自の考えですが、どのようなことでも全体の5%程度の人間(スキミング層)が、その他の95%の人間の行動を決めるといいます。この5%が、社会を正しく導く一定数必要な指導者としての割合かもしれません。

 

この数字が、少なければ少数独占的になり業界の硬直化が始まり、多すぎると混乱をきたすと考えます。建設業では、10%の特定建設業者がいますが、業界自体まとまりがあることから、実質的に業界の指導的立場に当たる業者は、その半数と考えます。残りの半数は、業界の指導的立場の予備軍または候補生(イノベーター層)のように感じます。

 

このように特定建設業は、業界全体の指導的立場が期待されています。