建設工事請負契約書の14項目の記載事項は、どのようなものがあるのか(まとめ)?

 

建設業法では、工事の請負契約を締結する際は予め法に定められた記載事項を織り込んだ書面にて締結することが、求められています。当然、この記載事項(必要的記載事項)が漏れた契約書面は、建設業法に違反します。

 

なぜ、このような書面の発行が必要なのかというと、建設工事請負契約に関する基本原則が建設業法により定められているためです。

 

契約当事者のそれぞれが対等な立場における合意に基づいて公正な契約を締結し、信頼に従って誠実に履行することを契約の基本原則として定める(建設業法第18条)。

 

よって、建設工事の請負契約は、民法における「申込と承諾」による契約の締結の大前提である「対等な立場での合意」と「信頼に従った誠実な履行」を建設業法にてあらためて確認しています。

 

その背景には、建設工事の請負契約は、従来から注文者が強い立場に立つ片務性(一方的に性質)が指摘されてきたためです。

 

また、民法では、契約の当事者による合意により契約は締結するため、口頭のみでも適法な契約を行うことが可能でしたが、建設業法では、口頭の契約では内容が不明確、不正確となり、後日紛争の原因になることから契約の重要事項(14項目)については、具体的に書面で取り決め、双方の記名押印しお互いに交付すべきことを定めています(建設業法第19条)。

 

これらのことは、発注者(施主)と建設業者の契約のみならず、下請契約にも同様に適用されます。

 

以前、上記のことについて触れましたが、本日は改めて、この必要的記載事項である重要事項(14項目)について掲載いたします。契約の重要な知識になりますので、改めてご理解を深めていただきたいと思います。

 

建設工事請負契約の14の必要的記載事項と標準請負契約約款

 

建設業法で定める14項目を記載した書面により建設工事請負契約を行う必要が法律上義務付けられています。このことは、少額で簡単な追加工事でも、変更契約書や覚書などの書面が必要になります。

 

建設工事の請負契約の当事者は、契約の締結に際して工事内容等14の事項を書面に記載して、署名または記名押印して相互に交換しなければならないとされており、また、請負契約の内容でこれらの14の事項に該当するものを変更するときは、その変更の内容を書面に記載して、書面または記名押印して相互に交換しなければならないとされています(建設業法第19条第1項、第2項)。

(建設業法第19条で定める14の事項)
1.工事内容(発注者と受注者間の取引と、元請と下請間の取引では、省庁のガイドラインにより記載内容が異なります。)
2.請負代金の額
3.工事着手の時期及び工事完成の時期
4.請負代金の全部又は一部の前金払いまたは出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期及び方法
5.当事者の一方から設計変更または工事着手の延期若しくは工事の全部若しくは一部の中止の申出があつた場合における工期の変更、請負代金の額の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め
6.天災その他不可抗力による工期の変更または損害の負担及びその額の算定方法に関する定め
7.価格等の変動若しくは変更に基づく請負代金の額または工事内容の変更
8.工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め
9.注文者が工事に使用する資材を提供し、または建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容及び方法に関する定め(一方的な無償貸与は、偽装請負・違法派遣の疑いを受ける可能性があるので注意です。)
10.注文者が工事の全部または一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期
11.工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法
12.工事の目的物の瑕疵を担保すべき責任または当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容
13.各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金
14.契約に関する紛争の解決方法

 

なお、建設工事請負契約を、注文書、請書による場合は、所定の要件を満たした基本契約書または基本契約約款を作成する必要があります。

 

請負契約を注文書+請書で締結する場合の2つの方法

 

建設工事請負契約を注文書+請書で締結する場合でも「建設業法第19条で定める14の事項」の記載は必要になりますし、「双方の書面の発行義務」はあります。

 

これを踏まえて、工事請負契約を、注文書と請書で行う場合は、次の要件を満たした基本契約書または基本契約約款を作成することが必要です。

 

  • 基本契約書を締結したうえで、注文書と請書で行う場合

 

契約の当事者間で予め基本契約書を締結した上で、具体的な取引は注文書と請書の交換で行う場合は、以下の要件を満たす必要があります。単純な注文書および請書の交換では適法なものとして認められません

 

注文書および請書には、工事の内容、請負代金額、工期その他必要な事項を記載
基本契約書には、上記①の注文書および請書に記載された事項以外の「建設業法第19条で定める14の事項」とその他必要な事項を記載して、当事者の署名または記名
押印をして相互に交付
注文書および請書には、注文書および請書に記載された事項以外の事項については、基本契約書の定めによるべき旨を明記
注文書には注文者が、請書には請負人がそれぞれ署名押印

 

  • 注文書および請書の交換のみで行う場合

 

契約の当事者間で基本契約書を予め締結せずに、注文書と請書の交換のみで行う場合は、「基本契約約款」を添付する必要があります。

 

注文書または請書のそれぞれに、同じ内容の契約約款を添付または印刷
注文書または請書には、工事の内容、請負代金額、工期その他必要な事項を記載
契約約款には、上記②の注文書および請書に記載された事項以外の「建設業法第19条で定める14の事項」とその他必要な事項を記載
注文書または請書と契約約款が複数枚におよぶ場合には割印
注文書および請書には、注文書および請書に記載されている事項以外の事項については契約約款の定めによるべきことを明記
注文書には注文者が、請書には請負人がそれぞれ署名押印

 

なお、国土交通省に設置されている中央建設業審議会では、公共工事、民間工事それぞれについての標準的なよりどころとなる「標準請負契約約款」を作成しています。

 

中央建設業審議会作成の標準請負契約約款

 

国土交通省に設置されている中央建設業審議会が作成した標準請負契約約款は以下の3種類が存在します。適法な請負契約を行うためにも、是非ともご活用ください。

 

公共工事標準請負契約約款
民間工事標準請負契約約款(甲)・(乙)
建設業工事標準下請契約約款

 

なお、建設工事の請負契約には、国土交通省中央建設業審議会が作成した上記の3つの契約約款以外に、民間工事に用いるために作成された「民間(旧四会)連合協定工事請負約款」もあります。

 

まとめとして

 

本日は、工事請負契約書の作成に関する必要な事項や標準約款の活用についてまとめました。 本日の内容は、以前、それぞれに記事を立てたのですが、ひとまとめにして内容をご理解いただきたいもののため、本日はまとめ記事を作成しました。

 

特に「注文書と請書」の交付で行う方もいらっしゃると思います。この場合は、「基本契約書」か「請負契約約款」の方法を選択される必要があります。

 

注意点として本日確認しておきたいことは、建設業の場合は「注文書と請書の交付のみでは適法にならない!」ということです。この辺も含めて、再度知識の確認をお願いします。