下請いじめにあたり建設業法違反に該当する元請業者の行為はどのようなものがありますか?

 

建設業法において保護されるべき発注者は、建設工事の施主であり元請け業者ではないということを前回の記事で書きました。

 

また、建設業法は原則建設業者を保護する法律ではないが、公共の福祉の観点から強いて保護すべき建設業者があるとするならば、下請業者である旨を解説しました。

 

さて、昔から請負仕事を行う場合、どうしても付きまとう問題に元請業者の優越的地位を濫用した不当な下請いじめや下請けたたきがあります。

 

もちろん、場合によっては下請けの側にも落ち度や問題がある場合もあります。ただし、支払いに対し圧倒的に強者でもある元請業者は、その立場を利用してダンピングや不当な変更などの不当行為に出る場合が散見されます。

 

そのため、建設業法では「建設業法令遵守ガイドライン(国土交通省)」によって、いかなる行為が下請取引により元請業者の優越的地位を濫用に当たるのかについての基準を策定し、判断しています。

 

本日は、この「建設業法令遵守ガイドライン(国土交通省)」をご紹介したいと思います。

 

建設業法令遵守ガイドライン(国土交通省)のご紹介

 

このガイドラインの策定の趣旨は以下のようになります。

 

元請負人と下請負人との関係に関してどのような行為が建設業法に違反するかを具体的に示すことにより、法律の不知による法令違反を防ぎ、元請負人と下請負人との対等な関係の構築および公正かつ透明な取引の実現を図ることを目的に策定されたものです(国総建第100号平成19年6月29日・最終改正平成29年3月)

 

このガイドラインにより、一般的に法律的な文言や解釈に触れる機会の少ない建設業者の方々の法律の理解不足を補てんして、対等で公正な下請取引への理解を深めてもらい、不公正な下請取引を減少させることが主な趣旨です。

 

  • ガイドラインの内容

 

建設業の下請契約における取引の流れに沿ったかたちで、見積条件の提示、契約締結といった項目について、留意すべき建設業法上の規定を解説するとともに建設業法に抵触するおそれのある行為辞令を提示しています。以下の行為が、建設業法に抵触するおそれのあるものになります。

 

1.
見積条件の提示(建設業法第20条第3項)
2.

書面による契約締結

①当初契約(建設業法第18条、第19条第1項、第19条の3)
②追加工事等に伴う追加・変更契約(建設業法第19条第2項、第19条の3)
③工期変更に伴う変更契約(建設業法第19条第2項、第19条の3)
3.
不当に低い請負代金(建設業法第19条の3)
4.
指値発注(建設業法第18条、第19条第1項、第19条の3、第20条第3項)
5.
不当な使用資材等の購入強制(建設業法第19条の4
6.
やり直し工事(建設業法第18条、第19条第2項、第19条の3)
7.
赤伝処理(建設業法第18条、第19条、第19条の3、第20条第3項)
8.
工期(建設業法第19条第2項、第19条の3)
9.
支払留保・支払遅延(建設業法第24条第3項、第24条の5)
10.
長期手形(建設業法第24条の5第3項)
11.
帳簿の備付け、保存および営業に関する図書の保存(建設業法第40条の3)
12.

関係法令

①独占禁止法との関係について
②社会保険・労働保険について
③労働災害防止対策について
④下請代金の支払手段について

 

  • 平成29年3月の改正について

 

(1)下請代金の支払手段について項目を追加し、次の内容を明記しました。

 

①下請代金の支払は、できる限り現金によるものとすること。
②手形等により下請代金を支払う場合は、その現金化にかかる割引料等のコストについて、下請事業者の負担とすることが無いように、これを勘案した下請代金の額を親事業者と下請事業者で充分に協議して決定すること。
③下請代金の支払に係る手形等のサイトについては、段階的に短縮に努めることとし、将来的には60日以内とするよいう務めること。

 

(2)違反のおそれのある行為事例を追加

 

まとめとして

 

上記のガイドラインについての具体的な解説は次回以降にしますが、ざっとご覧になって請負で仕事をする場合に、建設業に限らずどの業種でも起こり得る問題のように思えないでしょうか?

 

私は、建設業はすべての請負業の原板があるように思えてなりません。建設業法をきちんと勉強することで、下請問題への具体的な対応策が見えてくるように思います。

 

今回の「建設業法令遵守ガイドライン(国土交通省)」のご紹介により、多くの方がこの問題への関心を持っていただけることを願います。

 

行政書士は、下請問題に対してのコンサルティングも仕事の一つであります。是非とも、有効にご活用ください。