建設工事請負契約書は、どのような場合でも作成しなければいけないのでしょうか?

 

契約の成立は、民法上では、契約当事者間で申し込みと承諾の合致することによりなされます。よって、契約書面を作成することにより契約が成立するのではなく、口頭の約束であっても、契約を成立させることは可能です。
次に、契約の内容は、契約当事者間で基本的に自由に締結することができます。その為、公序良俗に反しない様な内容であれば、基本的に有効なものになります。
なお、業法や特別法等で特に定めるものはこの限りにありません。要するに、契約の概念を記した民法は、民間の自治を尊重する考え方が、根底に存在します(契約自由の原則)。

 

契約の基本的な考え方をまとめれば、このようになります。基本的に契約は、相対する意思表示の一致のみで成立し、書面作成をしなくても口頭でも可能です。

 

しかし、上記にもあるように、「業法や特別法等で特に定めるものはこの限りにありません。」という条件が付いています。

 

これは、本来は契約は「民間の自治を尊重」する観点から自由ですが、特に野放しにこの自由を認めると社会的影響が大きいものについては、「書面発行義務」や「書面への記載事項の列挙」などを業法や特別法で、定める場合があります。

 

建設業でいえば、建設業法で工事の請負契約を締結する場合は、書面を発行し、内容に建設業法で定める14項目の内容を契約書に記載する必要があります。これをしないと、行政庁の指導や1年以内の営業停止処分、許可の取り消しが考えられます。

 

このように建設業法で書面化が義務付けられている建設工事請負契約書については、どんな場合でも書面化することが必要なのでしょうか?

 

例えば、少額で簡単な追加工事については、変更契約書や覚書などを作る必要はあるのでしょうか?本日は、この件について解説をしてみたいと思います。

 

建設工事請負契約書は、どのような場合でも作成する義務があります。

 

建設工事の請負契約の当事者は、契約の締結に際して工事内容等14の事項を書面に記載して、署名または記名押印して相互に交換しなければならないとされており、また、請負契約の内容でこれらの14の事項に該当するものを変更するときは、その変更の内容を書面に記載して、書面または記名押印して相互に交換しなければならないとされています(建設業法第19条第1項、第2項)。

(建設業法第19条で定める14の事項
1.工事内容(発注者と受注者間の取引と、元請と下請間の取引では、省庁のガイドラインにより記載内容が異なります。)
2.請負代金の額
3.工事着手の時期及び工事完成の時期
4.請負代金の全部又は一部の前金払いまたは出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期及び方法
5.当事者の一方から設計変更または工事着手の延期若しくは工事の全部若しくは一部の中止の申出があつた場合における工期の変更、請負代金の額の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め
6.天災その他不可抗力による工期の変更または損害の負担及びその額の算定方法に関する定め
7.価格等の変動若しくは変更に基づく請負代金の額または工事内容の変更
8.工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め
9.注文者が工事に使用する資材を提供し、または建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容及び方法に関する定め(一方的な無償貸与は、偽装請負・違法派遣の疑いを受ける可能性があるので注意です。)
10.注文者が工事の全部または一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期
11.工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法
12.工事の目的物の瑕疵を担保すべき責任または当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容
13.各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金
14.契約に関する紛争の解決方法

 

建設業法で定める14項目を記載した書面により建設工事請負契約を行う必要が法律上義務付けられています。

 

このことは、少額で簡単な追加工事でも、変更契約書や覚書などの書面が必要になります。

 

なお、建設工事請負契約を、注文書、請書による場合は、所定の要件を満たした基本契約書または基本契約約款を作成する必要があります。この内容については、次回以降に詳細に解説したいと思います。

 

今日は、「書面による契約書作成についての例外は、一切認められない。」ことを、覚えていただければと思います。

 

まとめとして

 

私は以前、業務委託契約書の作成を主な業務として一世を風靡した経験があります。この下請契約書の作成のもとになっているのが、建設業法上の「工事請負契約書」です。

 

その他、委任契約・準委任契約に該当するものは、「士業や資格業」の委託契約書を勉強しました。

 

このことによって、大方の業務委託契約書の作成についての知識を身に付けました。私は、特に建設業の仕組みが戦後の日本の請負産業の基礎であると考えていますし、今後もこのことは変わりません。

 

ちなみに、世界最古の民間会社は大阪府大阪市天王寺区にある株式会社金剛組だそうで、西暦578年創業だそうです。

 

現在は、高松建設株式会社の100%子会社ですが、一つの会社や仕組みが長く続くことは、やはり理に適った方法である証明と考えてもいいと思います。

 

いろいろと、独自の方法を編み出そう努力される方もいらっしゃると思いますが、このような古い会社から今後の方針を学ぶのも一つの手かもしれません。