経営事項審査制度の今に至るまでの変遷を教えてくれませんか?

 

前回の記事で、「経営事項審査とは、公共工事の入札参加を行う前に受けるセンター試験である」ことを説明しました。

 

以前、建設業法の法律制定の経緯や改正の変遷について解説しましたが、「法制史を学ぶことは、法の趣旨や精神を読み解くうえで、また、それを踏まえて今後どのような改正が行われるべきかを考える上で、重要です」と、回答しました。

 

このことは、関係する制度を考える上でも同じで、制度の趣旨を正しく理解して、適正に運用するためには必要な作業です。

 

法律や行政制度は、「紙に書かれているからやりましょう!」という様な、単純なものではありません。必ず社会の実態と正しい在り方を踏まえたものでなければなりません。

 

そのため、上の都合で「やれ!」と押し付けられているものようなものではなく、国民全体の公共の福祉の観点から合理的に説明できるものでなければいけないのです。

 

そのことから、改正も社会実態を踏まえて考えられています。このような観点から、今回の経営事項審査制度の変転についてもご覧いただければ幸いです。

 

経営事項審査制度の変遷

 

経営事項審査制度は、昭和25年から実施された「工事施工能力審査」を前身として、昭和36年の建設業法改正の際に法制化されました。その後、昭和48年10月の改正で現在の「経営事項審査」という名称に改められました。

 

審査項目や評点の数値化についても制定以来、数多くの改正がなされました。

 

平成6年の改正によって、公共工事の入札に参加しようとする建設業者は、「その経営に関する客観的事項について審査を受けなければならない(建設業法第27条第1項)。」と定められました。

 

平成16年3月の改正で、それまで指定機関によって行われていた経営状況分析が、登録機関による分析になり、民間に開放されました。

 

また、併せて経営事項審査も経営規模等評価申請と総合評定請求に分けられ、申請者が総合評定値の結果算出を求めるかどうか選択できるようになりました。

 

その後も基準は改正されて、ペーパーカンパニーへの対策、再生企業の評価の見直しなど(平成22年10月)、若年技術者および技能労働者の育成および確保の状況の新設や、評価対象となる建設機械の範囲(モーターグレーダー・移動式クレーン・ダンプ)の拡大(平成26年10月)が行われました。

 

直近では、平成29年12月改正の社会保険未加入対策や防災活動、建設機械の保有状況の加点方法の見直しがあります。

 

まとめとして

 

法律や社会制度というものは、最初に大きな枠組みを作り、社会の実態に併せて最適化を図っていきます。

 

もちろん、「図っていく」のであって、その最適化が時として実態にそぐわないことも往々に考えられます。

 

しかし、法律や社会制度は、あくまでも人間のやることであり、その英知を結集して積み上げた努力の結晶でもあります。

 

そのため、完全ではないという前提の上で、人間の努力への尊敬の念を忘れてはいけないと感じます。大きくいえば、法律や社会制度とは、永遠に発展途上のものかもしれません。