労働基準法に違反することで、建設業許可の欠格事由に該当することはあるのか?

 

先般ご紹介した建設業許可の欠格事由に該当することの中で、労働基準法違反も欠格事由に該当する旨が分かると思います。

 

具体的には、労働基準法違反により取り消しになるケースには、2通りあり、罰金刑以上の刑を受けた場合でも取り消しになるものと、禁固以上の刑により取り消しになるものです。

 

罰金刑以上の刑で取り消しになるものは、先の記事でも触れましたが、「強制労働の禁止(労働基準法第5条)」および「中間搾取の排除(労働基準法第6条)」です。この労働基準法違反によって罰金刑以上に処せられた場合は、建設業許可の欠格事由(建設業法第8条第1項)に該当して、許可が取り消されます。

 

(強制労働の禁止)
使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神的または身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない(労働基準法第5条)。
上記の第5条の規定に違反した者は、これを1年以上10年以下の懲役または20万円以上300円以下の罰金に処する(労働基準法第117条)。

(中間搾取の排除)
何人も、法律に基づいて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない(労働基準法第6条)。
上記の第6条の規定に違反した者は、これを1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する(労働基準法第118条)。

 

さて、本日は、労働基準法違反において禁固以上の刑により取り消しになるものについて、解説をさせていただきたいと思います。

 

禁固以上の刑により取り消しになるもの

 

労働基準法違反でも以下の条文を根拠に、禁固以上の刑罰を受けた場合は、建設業許可の欠格事由に該当し、許可が取り消されることがあります。

 

禁固以上の刑に処せられその刑の執行が終わり、またはその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しないものは、欠格要件に該当し、許可を受けられません(建設業法第8条第7号)。

 

そのため、労働時間、休憩、休日等に関する規定に違反し、禁固以上の刑を受ければ許可は取り消しになります。

 

それでは、どのような規定に注意が必要か、下記に例示したいと思います。

 

  • 労働時間

 

(1)
労働時間の上限は、1日8時間、1週間40時間(労働基準法第32条、第40条)
(2)

36協定の限度は、協定で定めた時間まで時間外労働可能(労働基準法第36条)
36協定の限度は、厚生労働大臣告示で定められているが強制力はない。

①原則、月45時間かつ年360時間
②建設事業は、①の適用除外

 

  • 休憩・休日

 

(1)
1日の労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を、勤務時間の途中に与えなければならない。休憩時間は原則として、一斉に与えかつ、自由に利用させなければならない(労働基準法第34条)。
(2)
少なくとも1週間に1日、または4週間を通じて4日以上の休日を与えなければならない(労働基準法第35条)。
また、休日に労働させる場合は、36協定の締結が必要(労働基準法第36条)。

 

  • 割増賃金

 

時間外労働、休日労働、深夜労働(午後10時から午前5時)を行わせた場合には、割増賃金を支払わなければならない(労働基準法第37条)。

 

  • 年次有給休暇

 

雇い入れ日(使用期間を含む)から6ヶ月間継続勤務し、全所定の8割以上出勤した労働者には年次有給休暇が与えられる(労働基準法第39条)。

 

まとめとして

 

本日は、労働基準法違反による許可の取り消しについて解説しました。この場合には、2通りのものがあり、「罰金刑以上で取り消しのもの」と、「禁固以上で取り消しのもの」です。

 

特に「禁固以上で取り消しのもの」は、労働基準法に限らずあらゆる法律にいえます。刑法犯であっても建設業法関係でもそうです。

 

労働基準法にあたっては、特に注意が必要で、過去に禁固以上の刑を会社の役員の方などが受けたものをピックアップしました。

 

労働基準法違反の発覚が一番多いケースは、「労災事故」です。その他、内部告発や労基署の査察も考えられますが、「労基署側が結論を出さざるを得ない」状況に追い込むものは「労災事故」がダントツです。

 

内部告発や査察の場合は、罰金や反省文で済むこともありますが、「労災事故」については難しいです。このような状況は、最悪のケースで、労働基準法違反のみではなくその他の法律でも一定の量刑は覚悟しなければなりません。

 

事前の安全対策は、労基対策も含めて重要に感じます。