特定建設業の要件の一つである財産的基礎について、欠損額が資本金の20%を超えた場合、許可は取り消されるのか?

 

建設業許可を取得するにあたり、必要な5つの要件の中に、「財産的基礎」の要件があります。この財産的基礎とは、請負契約を適切に請負うに足る財産的基礎または金銭的信用を有することが必要であるとのことです(建設業法第7条第4号)。金銭的基礎について大まかに説明すると以下のようになります。

 

項目 許可を受けるために必要な財産的基礎等
財産的基礎等 一般建設業の場合、次のいずれかに該当する必要があります。(建設業法第7条第1項第4号)
① 自己資本が500万円以上あること
② 500万円以上の資金調達能力があること
③ 直前の5年間東京都知事許可を受けて継続して営業した実績があり、かつ、現在東京都知事許可を有していること(東京都知事許可の場合)特定建設業の場合、次の全ての要件に該当することが必要になります。(建設業法第15条3号)
① 欠損の額が資本金の20%を超えないこと
② 流動比率が75%以上であること
③ 資本金が2,000万円以上であること
④ 自己資本が4,000万円以上であること

 

自己資本とは、法人では貸借対照表の純資産の部の純資産合計をいいます。個人では期首資本金、事業主借勘定および事業主利益の合計から事業主貸勘定の額を控除した額に負債の部に計上されている利益留保性の引当金および準備金の額を加えたものをいいます((自己資本=期首資本金+事業主借勘定+事業主利益)-事業主貸勘定+利益留保性の引当金+準備金)。資金調達能力については、取引金融機関発行の預金残高証明書により判断します。

 

この中で、特定建設業は、一般建設業に比べて元請けの立場での許可になりますので、一般建設業よりも厳しい財産的基礎や専任技術者の要件が存在します。

 

特定建設業の場合、元請負人が工事の全部または一部を下請負人に出す金額が4,000万円(税込)以上(建築一式は、6,000万円(税込)以上)の場合に必要な許可区分です(※ 複数の下請負人に出す場合は、その合計金額)。一般建設業は、それ以外の工事になります。なお、2次以降の下請負人に対する下請契約の金額の制限はありません。

 

さて、上記の表にある通り、特定建設業の財産的要件の1つに「欠損の額が資本金の20%を超えないこと」というものがあります。

 

もしも、欠損額が資本金の20%を超えた場合は、他の要件を欠いた時のように、特定建設業許可は取り消しの対象になるかについて解説したいと思います。

 

有効期間内ならば欠損額が資本額の20%を超えても取り消しにならない

 

特定建設業の財産的基礎についての要件を、許可を受けた後に欠いてしまうことはよくあります。特に先に挙げたような、欠損額が資本金の20%を超えた場合などは代表的です。

 

この特定建設業の財産的基礎に適合するか否かの判断は、原則、既存の企業については、許可申請時の直前の決算期における財務諸表で、新規設立企業については創業時の財務諸表で判断されます。

 

そのため、許可を受けた後の有効期間内にこの基準に適合しなくても、直ちに許可が効力を失うことはありません。ただし、許可の更新時には、この財産的基礎の判断はされます。この際に、基準に適合しない場合は、不許可になります。

 

※ 大臣許可の場合、当該財務諸表では資本金の額に関する基準を満たさないが、申請日までに増資を行うことで基準を満たす状態になった場合は、資本金に関する基準を満たしていることになります。

 

まとめとして

 

本日は、「特定建設業の財産的基礎の要件を欠いたら、直ちに許可を取り消されるか?」について、「許可の有効期間内ならば、直ちに効力を失わない!」と回答しました。

 

ただし、更新が迫っている場合は、更新の際に再度財産的基礎の判断がされますので注意が必要です。この際に、基準を満たさない場合は、不許可になり更新ができません。

 

このように、特定建設業許可の場合は、要件管理は、しっかりとした体制を作る必要があります。更新時期などは特に重要です。

 

特定建設業許可の取得をする場合は、行政書士を顧問としておいて、常時「期限管理」、「要件管理」、「法令管理」のコンプライアンス体制の構築を心がけることをお勧めします。