産業廃棄物処理の責任の所在はどこにあるのか?

 

産業廃棄物とは、廃棄物処理法第2条により「事業活動により排出される廃棄物」と定められています。そして、この廃棄物を排出する事業者を、排出事業者といいます。

 

要するに、排出するのは一般人とみなされる者ではなく、事業活動を行う上で一定量の廃棄物の排出が見込める事業者ということです。そのためオフィスででるゴミ類は、一般廃棄物とされ産業廃棄物ではありません。

 

さて、この産業廃棄物処理に対する責任の所在はどこにあるのでしょうか?排出事業者でしょうか?収集運搬業者でしょうか?処分業者でしょうか?

 

本日は、この責任の所在と処分委託について解説したいと思います。

 

処理のための責任の所在と処理の委託

 

廃棄物処理法では、以下の規定により産業廃棄物の排出事業者の処理責任を明確にしています。

 

事業者は、その事業に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない(廃棄物処理法第3条第1項)

 

これは、「排出業者責任」と呼ばれて、廃棄物処理の重要な原則です。

 

自ら排出した産業廃棄物のみを運搬する場合は、産業廃棄物収集運搬業の許可は不要です。建設会社に当てはめれば、元請業者が工事の廃材を収集運搬する場合は、許可が不要ですが、下請業者に廃材の収集運搬を行わせる場合は、下請業者側に収集運搬業許可のある業者にさせなければなりません。

 

このように、自ら産業廃棄物の処理を行わない場合は、許可業者に処理を委託することになります。その場合、書面による契約の締結が必要です。

 

排出事業者は、先に挙げた「排出業者責任」を全うするために、どの種類の廃棄物を、どの程度の量を排出し、どのような処理を委託するかを予め内容を明確にして処理業者と委託契約を締結しなければなりません。

 

処理委託契約には、5つの決まりがあります。

 

1.二者契約であること
排出事業者は、収集運搬業者、処分業者とそれぞれ契約を結びます。排出事業者と収集運搬業者、排出事業者と処分業者というようにです。
2.書面で契約すること
本来は、契約は口頭でも成立しますが、産業廃棄物処理委託契約については、法令により書面かつ、必要な記載事項が定められています。(廃棄物処理法施行令第6条の2第4号、廃棄物処理法施行規則第8条の4の2)
3.必要な項目を盛り込むこと
契約書には、産業廃棄物の種類、数量、委託者が受託者に支払う金額、受託者の許可の範囲、委託契約の有効期限などの法定の事項が盛り込まれます。
4.契約書の添付書類に許可証の写しが必要なこと
契約内容に該当する許可証、再生利用認定書等の写しの添付が必要です。
5.5年間保存すること
排出事業者は、契約終了の日から契約書を5年間保存する義務を負います。

 

※ 契約書の内容は、法定の項目と一般の記載項目に分かれます。法定の項目が欠けていたり、記載事項が事実と相違する場合は、「処理委託基準違反(3年以下の懲役または300万円以下の罰金)」になります。

 

なお、処理する業務の許可の無い事業者に委託すると「無許可行為」になります。この場合は、委託した排出事業者も、受託した収集運搬業者や処分業者も双方とも無許可行為をしたとして、重罰(5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金)に課せられる場合があります。

 

  • グループ企業における廃棄物処理の特例

 

先に、自ら排出した産業廃棄物のみを処理する場合は、許可は不要ですが、他社に処分を委託する場合は、受託業者が許可事業者である必要があると述べました。

 

しかし、一定の条件を満たす場合は、廃棄物処理法により別法人でも許可が必要でない場合があります。

 

その条件とは、「完全子会社であること」、「廃棄物を処理する法人が、環境省令で定める基準に該当すること」です。

 

まとめとして

 

再度申し上げますが、処理する業務の許可の無い事業者に委託すると「無許可行為」になります。この場合は、委託した排出事業者も、受託した収集運搬業者や処分業者も双方とも無許可行為をしたとして、重罰(5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金)に課せられる場合があります。

 

そのため、建設会社で元請業者が工事の廃材等を下請業者に持ち帰るように指示した場合、下請業者側に産業廃棄物処理に関する許可が無いと無許可行為に該当します。

 

そんなこんなから、近年では元請業者側が、産業廃棄物収集運搬業の許可の無い下請業者は、現場への立ち入りを禁止するケースを耳にします。特に、大手ゼネコンの現場などでは顕著です。

 

産業廃棄物収集運搬業許可の取得についてのご相談は、是非お早めに行政書士にご相談ください。