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典型契約と非典型契約、混合契約!業務委託契約書の作成は、慎重に!

典型契約と非典型契約、混合契約!業務委託契約書の作成は、慎重に!

 

前回の記事「請負と売買の混合する契約である製作物供給契約の取扱!」において、混合契約的な契約内容として製作物供給契約をご紹介したと思います。

この契約は、請負と売買に関する契約がミックスされた契約内容になり、必ずしも事前に民法により規定された契約内容ではありません。

業務委託契約も同じく、請負と委任・準委任に関する契約がミックスされた契約内容になります。

このような契約は、具体的な契約内容と運用の実態を鑑みて慎重に書面を作成しないと、後々とんでもない不利益に遭遇することも想定できます。これについては、具体例として製作物供給契約をあげて解説したと思います。

そのため、このような契約を実際に行う場合は、インターネットや書籍の契約書の雛形をそのまま利用するのではなく、必ず弁護士さんや行政書士などの専門家に相談することをお勧めします。

さて、本日は、前回の説明の補足になるのですが、典型契約や非典型契約、混合契約などの用語などの説明についてもう少し詳しく行いたいと思います。

 

典型契約と非典型契約、混合契約!

 

典型契約とは、民法で定められた13種類の契約をいい、具体的には以下のものをいいます。

 

1.贈与、2.交換、3.売買、4.消費貸借、5.賃貸借、6.使用貸借、7.雇用、8.請負、9.寄託、10.組合、11.和解、12.終身定期金、13.委任(準委任含む)

 

これらの契約は、現在の経済活動において頻繁に発生するもので、民法でも細かくその内容を規定しています。仮に、これら13種類の契約に当てはまらないものが発生しても、この13種類に準じて判断をしていくことになります。

次に、非典型契約については、上記の13種類の典型契約に当てはまらない契約をいいます。

企業間取引で多く使用されているものの代表例としては、「継続的給付契約(取引基本契約)」になります。これは、長期的な取引を前提として、取引の内容を一体的に事前に取り決めるものになります。

最後に、混合契約とは、民法で定める13種類の典型契約のうちいくつかをミックスして作られている契約をいいます。

具体例は、請負と委任・準委任を含む業務委託契約や、請負と売買を含む製作物供給契約があげられます。

 

13種類の典型契約は、日本だけでなく世界的に使用されている分類で、古代ローマ時代より存在していました。そのため、非典型契約や混合契約などの典型契約に存在がない契約内容が発生しても、この13種類の典型契約を準用して判断を行います。

 

まとめとして

 

私は、以前よりインターネットや書籍の契約書の雛形を使用したり、友人知人の会社の使用している契約書をたたき台にして自社の契約書を作成することは、素人には危険だ!と、いってきました。

法律家とはいえ、自分の専門業種などがあります。この専門業種の一通りの法律上の知識がないと契約書の作成が難しくなる場合があります。

例えば、IT系の契約書の作成は、ITに対し詳しい知識があることはもちろん、取引の形態やトレンド、今後の業界やIT技術の変化についての予測などができないと難しいと思います。

特に、IT系の契約書の作成をご依頼いただく場合は、専門家の専門分野を予め確認することが重要に感じます。ITコーディネーターなどの国家資格をもつ専門家などはお勧めです。

ちなみに、私は建設業工事請負契約書と、その周辺業務の研究を主に行っています。

請負と売買の混合する契約である製作物供給契約の取扱!

請負と売買の混合する契約である製作物供給契約の取扱!

 

以前、「業務委託契約!請負契約と委任・準委任契約の違いは?」に記事において、業務委託契約は、請負契約と委任・準委任契約を含む混合的な契約内容が往々として存在する旨について、以下のような内容を解説したことがあると思います。

 

実際に業務委託契約を締結した場合、請負契約なのか委任・準委任契約なのか区別がしがたい場合が往々として存在します。そのため、契約書の表題や条項に請負契約と明記されていても、必ずしも請負契約の考え方で解決できるわけではありません。例えば、市場調査を委託する場合に、単に市場におけるニーズ等を調査する合意ならば準委任ですが、調査結果に基づいて商品販売戦略の提案まで行うことを合意したならば請負契約になります。また、継続的な契約の場合には、個別の契約によって判断する場合や混合型として判断される場合もあります。

 

世間の契約形態の中には、法律によりその契約の種類が規定されている契約(典型契約)を超えた契約内容が存在します。その中には、一般的な典型契約をミックスした混合契約的なものなど、多種多様です。

そのため、社会の進歩や多様性の許容により、予め双方による合意内容が重要性を占めるケースが、典型契約により定める内容よりも比重が大きくなるケースが増えてくると予測しています。業務委託契約は、請負と委任・準委任の混合的要素を含む契約として先駆け的なものと私は考えます。

さて、業務委託契約は、請負と委任・準委任の混合的要素を含む契約ですが、この他に請負と売買の混合的要素を含む契約というものも世の中には存在します。

代表的なものとして、「製作物供給契約」です。こちらも広い意味で、業務委託契約として契約書に表記される場合もありますので、内容について確認が必要に思います。

 

いわゆる製作物供給契約とは、当事者の一方が、相手方の注文に応じて、専らまたは主として自己に属する材料を用いて制作したものを供給し、相手方がこれに対し報酬を支払う契約。例えば、家屋の建築、機械や洋服の制作などがこれにあたる(ブリタニカ国際大百科事典)。

 

製作物供給契約は、制作の点では請負の性質をもちますが、報酬との引き替えにより所有権を移転する点では売買の性質をもちます。

このような混合的な要素を含む場合には、どのようなことに注意して契約書を作成すべきでしょうか?本日は、この製作物供給契約についての取扱について解説をしたいと思います。

 

製作物供給契約の契約上の取扱

 

製作物供給契約とは、相手方の注文に応じて仕事を完成させる請負的な性格と、製作物の売買の性格との両方が含まれています。

 

① 請負とは、請負人が仕事の完成を約して、注文者がその仕事の完成に対して、一定の報酬の支払いを約する契約のことによって、その効力を生ずる(民法第632条)。
② 売買とは、当事者の一方が目的物の財産権を相手方に移転し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを内容とする契約である(民法第555条)。

 

基本的に製作物供給契約契約の場合、特約がなければ、民法上、製作については請負、制作物の取引については売買の規定が適用されます。また、性格上請負と売買契約の両規定が適用または準用される混合契約であると判断されることが少なくありません。

そのため、売買契約となると、製品に瑕疵があった場合には、商業上取引では瑕疵担保責任が6ヶ月間しか責任追及できません。請負契約とされると、注文者は、仕事の完成までの間はいつでもその損害を賠償して解除することができ(請負人は、契約解除はできません)、債務不履行責任(5年間)も瑕疵担保責任も追及できます。

そのため、どれが請負契約でどれが売買契約なのか、予め双方の具体的な取り決めが重要になる契約になります。

 

まとめとして

 

製作物供給契約契約も含めて業務委託契約など混合契約の要素を多分に含む契約を行う場合、必ず契約書の雛形作成や文案など専門家の意見を聞くようにしてください。

また、業務上このような契約をメインで行うのであれば、弁護士さんや行政書士と顧問契約を行うようにしてください。

弁護士さんと行政書士の違いについてですが、弁護士さんは契約に対して契約者双方の間に入り、契約書の作成や契約交渉を行うことができます(双方代理権あり)。対して、行政書士は、あくまでも依頼者自身が取りまとめた契約の内容を、法律的な文言に訳して文書化することになります(双方代理権なし)。

そのため、行政書士への依頼の場合は、あくまでも代書であるという認識のもと、契約書の文案の作成という意味でご依頼ください。

請負契約と派遣契約との違い。偽装請負とは、何か?

請負契約と派遣契約との違い。偽装請負とは、何か?

 

前回、「業務委託契約と雇用契約の違い。労働者性の判断基準とは?」において、実質的に雇用契約とみなされるか否かを判断する基準として「労働基準法研究会報告「労働基準法の「労働者」の判断基準について」(昭和60年12月)」をご紹介しました。

雇用契約の場合、労働者に関する指揮命令に関する権限は、雇い主に存在します。そのため、業務委託契約や請負契約と契約書の表題や条項において記載があっても、勤務実態の上で指揮命令系統がいわゆる雇い主にある場合は、雇用契約とみなされる可能性が大きいです。

こうなると、当然の事ながらいわゆる雇い主に関して労働基準法その他の労働関係法令における適用や社会保険の加入義務が課せられます。

さて、指揮命令に関する権限が雇い主側にない請負契約のデメリットとしては、「業務委託契約と、その利用に係る企業側のメリット、デメリットは?」で記載しましたが、以下のようになります。

 

業務委託契約を利用する上でのデメリットは、「仕事の進行に関する裁量権」が受託者側に存在するため、自社の社員のように指揮命令を行うことができず、仕事に関して受託者に依存してしまいがちになることです。また、情報漏えいを防止や品質の維持に関する対策が、自社の労働者を使用する場合に比べて難しくなる場合が往々に存在します。委託先は、指揮命令権限が受託先の労働者に対しない以上、細かな仕事のチェックが必然的にやりづらくなります。

 

そのことから、必然的に「仕事を出す側の指揮命令権限のもとで、他の雇い主のもとで雇用契約をした労働者を使用することはできないか?」という社会的需要が発生することは当然です。

労働者保護の観点からすると、いささか、都合のいい要求のように感じる方もいらっしゃると思います。当然、何も規制のないままこの要求を放置すると、人工貸し等の職安法で禁止する労働者供給事業に該当してしまいます。

 

何が問題になるのかについては、民法第632条の請負と職安法第44条が禁止する労働者供給事業についての関係性を考えることがいいと思います。
判断基準としては、仕事の完成を請負ことに該当する業務を職安法施行規則第4条1項に規定する「独立して行うべき行為」が請負業で、それ以外が労働者供給事業と云うことになります。
この「独立して行うべき行為」が請負業者の事業者としての事業者性の判断基準の大きなポイントになります。
さて、労働基準法第6条により、労働者に対する「中間搾取の排除」が定められています。
条文の内容は、「何人も、法律に基づいて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。」とあります。
前述の職安法施行規則第4条1項に規定により、労働者供給事業と判断されるものは、労働基準法上の「業として他人の就業に介入して利益を得る者」に該当し、違法行為になります。
ちなみに、職安法第44条が禁止する労働者供給事業を行うと、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」となります。

 

労働基準法やその他の労働関係法令により保護されない労働者的立場の者を発生させる事は、苦役者をつくることになり当然に犯罪行為となります。

ただし、現実的な労働市場の要求を鑑みて、一定の規制のもとこれを開放することにより、円滑な社会運営を目指すことは建設的なことと考えられています。

ここで、この社会的要請を満たすために発生されたものが「労働者派遣契約」になります。本日は、この契約形態と請負の関係性、偽装請負とは何か?について、解説をしたいと思います。

 

派遣契約との関係性

 

労働者派遣とは、自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることをいう。ただし、当該他人に対し当該労働者を当該他人に雇用させることを約してするもの(いわゆる出向)は労働者派遣に含まれない(労働者派遣法第2条1号)。

 

労働者派遣においては、労働者が派遣先の指揮命令に服して労働に従事します。当然、派遣先には労働者派遣法上の規制を遵守することはもちろん、派遣業の許可を事前に取得した派遣元から労働者の供給を受けることになります。

 

派遣契約

 

対して、請負の場合は、注文者の指揮命令に服さず独自の裁量のもと仕事を行うことになります。

 

 

※ 業務委託契約における委任・準委任も基本的に請負同様に仕事の進行に関する裁量権があるため、委託先の指揮命令に服しません。

さて、請負や業務委託などの契約名称の如何に関わらず、請負企業側が指揮命令を行わず、当該請負企業に雇用される労働者が請負業務遂行のため発注企業の事業所に赴き、発注企業の指揮命令に服している実態があれば偽装請負(業務処理請負)に該当する可能性が高いといえます。

偽装請負が上記の労働者派遣法第2条1項に該当し、かつ、派遣事業の許可を受けていない場合(労働者派遣法第5条1項)、労働者派遣を行っている側は罰則(1年以下の懲役または100万円以下の罰金など)により処罰される可能性があります。

また、労働者派遣を受けている側も労働者派遣法が定める義務に違反するものとして罰則により処罰される場合があるほか、派遣業の許可を受けていない者から労働者派遣を受け入れることとして(労働者派遣法第24条の2)、行政指導、改善命令、勧告、企業名公表がなされる場合が在ります。

派遣と請負を区別する基準としては、以下のように定められています。

 

・ 労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(昭和61年労働省告示、最終改正平成24年厚生労働省告示第518号)

請負の形式による契約により行う業務に自己の雇用する労働者を従事させることを業として行う事業主であっても、当該事業主が当該業務の処理に関し次のいずれかにも該当する場合を除き、労働者派遣事業を行う事業主とする。
一 次のイ、ロおよびハのいずれのも該当することにより自己の雇用する労働者の労働力を自ら直接利用するものであること。
イ 次のいずれにも該当することにより業務の遂行に関する指示その他の管理を自ら行うものであること。
(1) 労働者に対する業務の遂行方法に関する指示その他の管理を自ら行うこと。
(2) 労働者の業務の遂行に関する評価等に係る指示その他の管理を自ら行うこと。
ロ 次のいずれにも該当することにより労働時間等に関する指示その他管理を自ら行うものであること。
(1) 労働者の始業および終業の時刻、休憩時間、休日、休暇等に関する指示その他の管理(これらの単なる把握を除く)を自ら行うこと。
(2) 労働者の労働時間を延長する場合または労働者を休日に労働させる場合における指示その他管理(これらの場合における労働時間等の単なる把握を除く)を自ら行うこと。
ハ 次のいずれにも該当することにより企業における秩序の維持、確保等のための指示その他の管理を自ら行うものであること。
(1) 労働者の服務上の規律に関する事項について指示その他の管理を自ら行うこと。
(2) 労働者の配置等の決定および変更を自ら行うこと。
二 次のイ、ロおよびハのいずれにも該当することにより請負契約により請負った業務を自己の業務として当該契約の相手方から独立して処理するものであること。
イ 業務の処理に要する資金につき、すべて自らの責任のもとに調達し、かつ、支弁すること。
ロ 業務の処理について、民法、商法その他の法律に規定された事業主としてのすべての責任を負うこと。
ハ 次のいずれかに該当するものであって、単に肉体的な労働力を提供するものでないこと。
(1) 自己の責任と負担で準備し、調達する機械、設備もしくは器材(業務上必要な簡易な工具を除く)または材料もしくは資材により、業務を処理すること。
(2) 自ら行う企画または自己の有する専門的な技術もしくは経験に基づいて、業務を処理すること。

※ 各都道府県の労働局においては、基本的にこれに従った指導が行われています。

 

まとめとして

 

たとえ、請負契約という契約の形式をとっても、事業主の業務処理に関して以下のすべてを満たすものを除いて、労働者派遣事業を行う事業主とされます。そのため、労働者派遣事業の許可を取得せず行ったっ場合は、罰則により処罰されます。また、無許可の労働者派遣事業を行う事業主から労働者の供給を受けた者も、同じく処罰されます。

 

自己の雇用する労働者の労働力を自ら直接利用するものであること。
請負った業務を自己の業務として、契約の相手方から独立して処理するものであること。

 

偽装請負・違法派遣については、世の中の景気が悪化した際に往々に発生する社会問題です。上記に説明した職安法違反の労働者供給事業者は、事業として行う場合に非常に安易に行うことが可能です。

極論をいえば、人集めさえできれば事業が成り立つため、しばしば反社会的勢力の安易な収入源となっていました。

代表的なものに以前存在したドヤ街による日雇い労働者集めとその供給があります。状況はかなり改善されたとはいえ、大きな駅の近くでは朝方に稀にこのような光景を目撃します。

私の立場で次のようなことをいうのは不適切かもしれませんが、就業困難な中高年はアルバイトすら探すのが困難なケースがあります。見てみぬふりはとまではいいませんが、ある程度ほっておく世界も必要な気がします。

業務委託契約と雇用契約の違い。労働者性の判断基準とは?

業務委託契約と雇用契約の違い。労働者性の判断基準とは?

 

前回は、「業務委託契約!請負契約と委任・準委任契約の違いは?」の記事の中で、業務委託契約とは、「仕事の完成を請負う」請負契約か、受託者に「事務の処理を委託する」委任・準委任契約の2つに分類される旨の解説をしました。

受託者の立場から考えると、業務委託契約は、企業の部外者として企業の業務の一部を受託する契約をいいます。このことから、企業の一員として仕事をする雇用契約との違いについて明確にすることが求められる場面が往々として存在します。

基本的に業務委託契約の場合、受託者は部外者であるため外部の事業者となります。そのため、受託者には当然に事業者としての独立性が確保されていなければなりません。

もしも、実質的にいわゆる雇い主の指揮命令に服し、仕事の進行に対する裁量権が存在しない場合は、この契約は雇用契約とみなされることとなり、労働基準法等の労働関係法上の労働者としての権利が受託者側に発生することになります。

 

雇用 委任・準委任 請負
契約目的 役務の提供 役務の提供 仕事の完成
裁量権 雇い主 役務提供者 役務提供者

 

そうなった場合、いわゆる雇い主は、解雇や入れ替えなどの処遇も労働関係法に則り行い、また、社会保険への負担も発生します。

さて、国はこの「業務委託契約と雇用契約の違い」に関する基準をどのように判断しているのでしょうか?本日は、そのことについて解説をしたいと思います。

 

業務委託契約と雇用契約の違いは、労働者性を鑑みて判断される

 

雇用契約とは、民法において以下のように定義されています。なお、労働契約法における雇用契約は、民法の規定をベースにして制定されています。

 

・雇用は当事者の一方が相手方に対して労務に服することを約し、相手方がこれにその報酬を与えることを約するに因りてその効力を生ず(民法第623条)。
・労働契約とは、労働者が使用者に対して労働に従事することを約し、使用者がこれに対して対価を支払うことを約すことで成立する契約をいう(労働契約法第6条)

 

業務委託契約は、実態が契約書の内容と乖離していることをよく指摘される契約形態であります。本来、業務委託契約の場合は、事業主として独立して仕事の進行を裁量する権利があります。

ただし、実態は委託先(いわゆる雇い主)の一般的指揮監督関係に入り、一定の規律の下で労働者として就業することとなるケースが往々に存在します。

場合によっては、契約書の表題や条項が業務委託であることを理由に、他の雇用契約をされてる労働者が得られる権利が不当に制限されているケースも散見します。

法律は契約の形態や表記の如何に関わらず、実質的に労働者の場合は、労働基準法等の労働関係法により労働者保護を行うことになっています。

そのため、上記のような不当な扱いを実質的労働者が受けないように、国は「労働者性の判断基準」を定めて、労働者か否かを判断し労働者保護にあたっています。なお、労働者性の判断基準については、各要素を総合して判断されます。

 

・ 労働基準法研究会報告「労働基準法の「労働者」の判断基準について」(昭和60年12月)
① 個別の仕事の受注や業務に従事する場合に、自己の計算と責任において諾否を決定する裁量権があるか?(諾否の自由があれば労働者性は弱まる)
② 仕事を進めていく上で、その方法や時間配分等について指揮命令を受けているか?(指揮命令を受けていれば労働者性は強まる)
③ 仕事をする際に場所や時間を拘束されているか?(場所および時間を拘束されている場合は労働者性が強まる)
④ 仕事を代わりの者がやってよいか?(他人によって代替可能であれば労働者性は弱まる)
⑤ 報酬の支払はどのようになっているか?(報酬が時間単位で計算される場合は労働者性は強まる。仕事の成果に対し支払われる場合は労働者性は弱まる)
⑥ 自己の所有する機材等を用いて仕事を行っているか?(必要な機材等が会社から無償提供されている場合は労働者性が強まる)
⑦ 報酬の額が同種の業務を行う正規労働者に比べ高額か?(高額ならば労働者性は弱まる)
⑧ 他社の業務に従事することが困難な制約があるか?(制約があれば労働者性は強まる)

 

仮に雇用契約と判断された場合、労働基準法やその他労働関係法令に基づく規制に服するとともに、社会保険への加入義務が課されます。

 

平成30年3月30日に行われた「雇用類似の働き方に関する検討会」において、雇用類似の働き方の者については雇用と同様の保護を行うことの検討がなされています。具体的な保護内容としては、契約条件の明示、契約内容の決定・変更・終了のルールの明確化、契約の履行確保、報酬等の適正化などが検討されています。

 

まとめとして

 

一昔前は、業務委託や請負などの事業者としての契約において、実質的に労働者として就業していた場合、雇用問題として労働基準監督署へ相談に行っても「書面上、雇用契約ではない」ことを理由に相談を断られるケースが存在しました。

上記のような場合は、労働者と主張するのであれば、労働者性の判断をした上で、労働基準監督署へ相談する流れになっていました。

ただし、最近では雇用類似の働き方への理解も深まり、以前よりは寛容な対応が期待できるようになってきています。

労働者保護の観点から「騙されて雇用類似の働き方」を行っている方々に対しては喜ばしいことと思いますが、あまり企業側に労働者保護を要求すると、企業側は雇用か完全な外注かの二択の対応しかなくなってしまいます。

そのようになると、本来雇用類似の働き方でも仕事にありつける中高年などの就職困難者などが、職にあぶれることも念頭に置くべきと思います。

世の中を法的にクリーンにすることは、非常に良いことと思う反面、グレーゾーンをある程度許容できるような社会のゆとりも必要に感じます。